ローリスクハイリターンの投資なんてあるの?

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投資で期待するのはローリスクハイリターン。そんなものあるの?

少額の投資であれば売却益や配当などの利益が非課税になるNISA制度が拡大したり、確定拠出年金制度が公務員や専業主婦などの厚生年金第3号被保険者でも活用できる法改正が行われたりする中で、投資を始めてみようと考える人が増えているようです。しかし、まったく投資経験がない人にとっては、投資で利益が得られるのであればやってみたいが損はしたくないというのが正直な気持ちです。

投資の世界では、投資の結果がどうなるかわからない「将来の不確実性」のことをリスクといい、得られる利益のことをリターンといいます。リスクというと「損をする確率が高い」という意味だと考えがちですが損失だけでなく利益が出る場合も含めたばらつきの大きさを表す言葉です。どうせ投資をするのであれば、小さなリスクで大きなリターンを得たい、つまりローリスクハイリターンの投資をしたいと考えるのが一般的ですが、そんな投資はあるのでしょうか?ETF現物投資法やIPO投資、著名な投資家が行っているバリュー投資などがローリスクハイリターン投資として紹介されることがありますが、決してローリスクとは言い切れない面があります。一般的には、都合のよいローリスクハイリターンの投資は存在しないと考えておいた方がいいです。
※参考:『NISAの制度内容とメリット・デメリットを理解して、効率のいい資産運用を始めよう!

投資のリスクとリターンは反比例する!

一般的にはローリスクハイリターンの投資はないとお伝えしましたが、現代の金融技術をもってしてもそういった金融商品を開発できる可能性はないのでしょうか?リスクをコントロールしながらハイリターンを狙う方法について、心理学や確率統計などの最先端の専門家が金融商品開発に投入され、日々研究されています。そのため、いつかそういった商品が世に出る可能性はあります。しかし、いまだに開発は成功したという話はありませんので、難しいです。

投資のリスクとリターンには、トレードオフの関係が成り立っています。トレードオフとは、「あちらをたてれば、こちらがたたず」というもので、リスクを抑えようとするとどうしてもリターンまで小さくなってしまう、リターンを大きくしようとするとリスクも大きくなることが避けられない関係になっているのです。好不調の波が激しいアスリートは、抜群の成績を上げることもあれば並の選手以下の結果に沈むことがあり、反対に安定した実力を発揮するタイプのアスリートは、予想外に優勝することは期待できませんがいつも確実に10位以内には入る、そんなイメージでとらえるとわかりやすいです。リスクとリターンは反比例するようなイメージです。

しかし、きっちりと反比例するわけではなく、投資する商品によってリスクとリターンの関係は微妙に変わります。金融商品別のリスクとリターンの関係は、その商品のリターンをリスクで割ったシャープレシオと呼ばれる指標を見ることでわかります。極端なローリスクハイリターンの商品はなくても、シャープレシオを比較して相対的にローリスクハイリターンのものに投資することはできます。
※参考:『投資のリスクは?

投資のリスクは?

ハイリターンが見込みやすい投資の種類は?

ハイリターンが見込みやすい投資の種類にはどんなものがあるのでしょうか。ハイリターンには、「年率何パーセント」などの基準があるわけではありません。しかし、上手くいけば1年で倍になることもあるという商品はハイリターンが見込める商品とも言えます。信用取引や先物取引を含む国内・海外の株式投資、国内・海外の不動産投資信託、さらには、外国為替証拠金取引などがハイリターン商品としてあげられます。

株式投資とは、株式会社が発行した有価証券である株式を売買することで利益を狙う投資です。株式を買うということはお金を会社に出資することを意味します。出資の見返りとして、会社が稼いだ利益の一部を配当金としてもらうことになります。しかし、株式投資がハイリターンと呼ばれる理由は、配当金による利益ではなく、大きな売却益が狙える点にあります。株価が安いときに購入し、株価が上昇してから売却すれば大きな利益が得られます。1年間で株価が倍になることもそれほど珍しいことではありません。もちろん、株価が暴落する危険性もありますのでハイリスクハイリターンの投資です。不動産投資信託は投資対象が賃貸不動産になりますが、ハイリスクハイリターンという意味では株式と共通しています。

外国為替証拠金取引は、fxと呼ばれることが多く、ハイリターンが望める金融商品の1つです。fxの特徴は、実質的な自己投資金額にあたる証拠金の何倍もの取引ができることにあります。例えば、10万円の証拠金で10倍のレバレッジをかけて100万円の取引をする場合、10%価格が上昇するだけで10万円の利益が生じ、元の10万円が倍になります。
※参考:『不動産投資の始め方と始める前に知っておきたい基礎知識

ローリスクが見込みやすい投資の種類は?

一方、ローリスクが見込みやすい投資としては、MRFやMMFといった比較的安全な債券が投資対象となっている公募公社債投資信託や個人向け国債などがあげられます。ローリスクにも厳密な定義はありませんが、MRFや個人向け国債は、元本割れになる可能性が極めて低い商品ですので、ローリスク金融商品の代表的なものと考えましょう。もちろん、投資である以上、リスクがゼロというわけにはいきません。発行体である企業や国家が破綻すれば、元本割れはあり得ます。それぞれの商品について、もう少し詳しくお伝えします。

MRFは、マネーリザーブファンドの頭文字をとったものです。また、似たような名前ですが、MMFはマネーマネジメントファンドの頭文字をとっています。どちらも信用度の高い債券を組み込んだ公社債投資信託で、MRFは証券会社に口座を持っている人が投資用に待機させている資金・分配金などの受取金を、一時的に確保しておく場合にも使われてもいます。基準価額は理論上は変動しますが、現実的には動くことはなく、実質的なリターンは分配金のみとなります。ただし、ゼロ金利の状況下で、MMFは取扱いがなくなったり、MRFの利回りはほぼゼロになったりしています。

個人向け国債は、投資の初心者である個人でも安心して購入できるように商品設計された国債です。購入後、1年間保有すれば受け取った2回分の利息見合いを差し引かれるだけで、いつでも国に買い取ってもらえます。国に支払能力がある限り元本が保証されていることになりますのでローリスクといえます。リターンは、国債利回り低下の影響を受けて低い水準ですが、最低保証金利が約束されている点が魅力です。

投資でハイリスクローリターンは存在する!

ハイリスクハイリターンはある、ローリスクローリターンもある、そしてローリスクハイリターンはない、というご紹介をしてきましたが、ハイリスクローリターンの金融商品は存在するのでしょうか?不確実性が高い上に大きな利益が望めない商品ということになりますので、そんな商品を買う人は誰もいない、そのためそんな商品は存在しないと考えるのが自然です。しかし、現実的にハイリスクローリターンの商品は存在します。実際には、ハイリスクハイリターン商品を、知らず知らずにのうちに投資家自らがハイリスクローリターン商品に改造してしまっているというパターンです。

金融商品に限らず、家電製品でも取扱説明書に沿って正しく商品や製品を利用することが大切です。正しく扱えば家電製品は正しく動作しますし、正しい投資方法で運用すれば金融商品も看板に見合ったパフォーマンスを上げてくれるはずです。しかし、間違った方法で運用をすると、ハイリターンのメリットだけが消えてしまい、ハイリスクだけが残るという商品になってしまうのです。例えば、株式投資をしている場合、株価が下がって評価損が生じると上がるまでずっと持っていようと塩漬けにし、株価が上がって少しでも利益が出た場合はすぐに売ってしまう人がいます。そういった人は、自ら「損失を最大化し、利益を最小化する」行動をとっていることになります。その結果、その人にとって株式投資はハイリスクローリターンの商品になってしまうのです。株式投資に限らず、正しい投資方法を実践せずに投資をしてしまうと、商品の特性を活かせず不利な投資を強いられることになってしまいます。

知識と経験をもって堅実な投資を!

これから投資を始めようという人だけでなく、既に投資経験がある人でなかなか上手くいかないと感じている人は、きちんと投資の基礎を理解するスタートラインから始めることをおすすめします。投資の基礎とは、ここまでご紹介してきたリスクとリターンの関係を知ることです。初心者や経験が浅い投資家は、投資判断をする場合に感情に流されてしまう傾向が強いといわれています。金融商品の価格が下がると不安になって売却してしまったり、価格が上がると「まだ上がるだろう」と楽観して売却タイミングを逃してしまったりすることは珍しくないです。感情に流されずに投資をするためには、正しい知識が必要です。正しい知識を持つことにより、理性で感情をコントロールできるようになります。その結果、冷静な投資判断ができるようになり、投資成績も上がっていくことが期待できます。

もちろん、知識を得るだけで投資が上手くなるわけではありません。投資経験も大切です。特に、失敗はその人の成長を助ける貴重な経験です。誰でも失敗したことは印象に強く残りますし、2度と同じ失敗を繰り返さないように真剣に対策を考えるはずです。そういった経験を繰り返していくことによって、一般的な知識としては得られない、独自のやり方や考え方が生み出せるようになるはずです。ただし、失敗は小さなものにとどめる必要があります。自分の投資用資金のほとんどを失うような失敗をしてしまうと、投資を継続できません。ハイリスクの商品に初めて投資をする場合は、失っても問題がない範囲での堅実な投資にとどめながら経験を積むことをおすすめします。

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