クレジットカードを複数枚発行することは可能?

クレジットカードの審査の三大基準とされているのが、「資力」「性格」「資産」です。資力とは、本人がどれだけお金を稼ぐ能力があるかというポイントです。性格では、延滞をせずにローンを返済し続けられるだけの性格があるか、多重債務で自分の首を絞めるようなカードの作り方をしないかなどの慎重さが主に判断されます。ギャンブル依存などの悪癖がないかも調査されるケースがあります。資産とは、カード申し込み時にその人がどれだけの資産があり、カード会社にとって安心できる顧客かということが見極められます。

これらの基準を満たしている人はカード会社からすれば「返済能力がある人」であり、複数枚のカードを作っていても新たに審査を通過することは可能です。重要なのは、カードの枚数以上に本人の信用だといえるでしょう。たとえば、現在は安定した職業に就いていて安定した収入を得ている人だとしても、過去に何度も転職を繰り返していたり、懲戒免職を受けていたりする経歴が判明すれば、審査にネガティブなポイントを植えつけます。「性格」の部分で基準を満たしていないと思われるからです。逆に現在の資産がやや低くても、毎月の返済を確保できるだけの資力があり、大きな失敗はしないだけの性格があると判断されれば、すんなりと審査を通ることもあります。

しかし、所有する枚数が多くなればなるほど、審査に通る確率が低くなる、あるいは審査に通ったとしてもカードの利用限度が少なく設定されてしまうのは事実です。ローンが多くなればそれだけ本人の経済的負担が増すのは当然なので、返済能力をより厳しく審査されるようになるからです。

それでも複数のカードを作成できる人がいるのは、収入に大きな要因があるケースが多いでしょう。例えば、年収300万円の人が利用限度額100万円のクレジットカードを作成するのと、年収1,000万円の人が同じカードを作成するのとでは、カード会社にとってどちらが安心できる顧客と言えるでしょうか。考えるまでもなく年収1,000万円の顧客でしょう。カード会社から信頼を得るためには、年収の多さが重要なポイントになります。年収が少ないと感じている人は少しでも年収を多くするための工夫をするか、クレジットカード以外で資産を調達する方法を考えた方が賢明でしょう。

どうしてもクレジットカードを複数作成したい人は、まず自分の状況をよく考えて審査に挑むことをおすすめします。「年収が多いからカードを新たに作成しても大丈夫だろう。審査も必ず通るはずだ」と楽観的に考えていては、カードを作成した後で苦労する可能性がありますし、そもそも審査を通過しないかもしれません。年収の次に生活状況や支出の多さも厳しくカード会社からは審査されます。同じ年収であっても実家暮らしか一人暮らしかでは、大きく生活環境が変わってくるでしょう。結婚しているか、子どもはいるのかでも返済能力が左右されます。家は借家なのか持ち屋なのか、あるいはアパートなのかでも審査に影響します。持ち屋であれば、資産にプラスして考えることができます。

ただし、ローンがどれだけ残っているかなど、新たに審査される項目が増えます。カード会社としては、顧客が多重債務で苦しんだ挙句に自己破産されてしまうと莫大な不利益をこうむることになります。そんな事態に陥らないよう、複数枚のクレジットカードを所有しようとしている顧客には慎重な態度を崩さない傾向があります。カードを複数作るときには、自分の家族や職業について深く分析し、現在の債務と、自分の年収を照らし合わせてどれくらいの収入があれば審査に通るのかを逆算する必要に迫られていると覚えておきましょう。

 

クレジットカードを複数枚もつことのメリット

複数のクレジットカードを所有することは、審査に苦労することが多くなりますが、そのような所有の方法には大きなメリットがあります。むしろ、返済能力がきちんと備わっていて無駄遣いをしない人であれば複数のカードを持っていたほうが何かと便利です。

まず、複数のクレジットカードをメインカードとサブカードに分けて使い分けられるというメリットが生じます。メインカードとは、買い物や旅行のときに支払いを主に行うためのカードです。ポイントを重点的に貯め、愛用するクレジットカードだともいえます。一方、サブカードとは、メインカードがカバーしていない機能を保管するために持ち歩くカードのことです。ガソリンスタンド、ホテルなどの公共サービスや、海外などではメインカードに対応していない場合があります。

また、生活はメインカードさえあれば問題なくても、他社のカードのサービスが魅力的に思えることもあるでしょう。そこで、副次的に使用するカードとしてサブカードを用意しておくのです。メインカードが使えない場面でのみ、サブカードを使うと煩わしい思いをしなくて済みます。サブカードは限定的な場面でしか使わないので、家計を圧迫することもありません。多くの人が上手にメインカードとサブカードを使い分けています。

家計を考えて支出の管理をしやすくするようにクレジットカードを複数作る人もいます。クレジットカードは買い物や公共料金の引き落としなど、万能な用途があって便利なものですが、一枚のカードに依存していると支出の状況が確認しづらくなります。自分が何にお金を使ったかがすぐに分からないため、思わぬ大きな支出へとつながり焦ることもありえます。また、確定申告などの事務手続きにも苦労することでしょう。そこで、「買い物はこのカード」「旅行はこのカード」「海外で使うときはこのカード」という風に、カードごとの用途をあらかじめ決めておきます。そうすると、支出状況が分かりやすくなり、家計をすっきりと把握することができるのです。

ポイントが貯まりやすいのもメリットでしょう。一枚のカードしか持っていないと、「このお店にはよく行くのにカードが対応していない」という状況でやきもきさせられることがあります。どんなお店でもカードが使用できる確率を増やすことで、貯められるポイントも増えていきます。

複数の国際ブランドを併用できることも、生活のさまざまな面で役立ちます。実は、クレジットカードには国によって使用可能なカードとそうではないカードがあります。国内メーカーではあらゆる状況で使える便利なメインカードでもあっても、外資系企業を対象にすると使用不可になってしまう恐れがあるのです。旅行によく行く人は困った経験があるのではないでしょうか。ホテルや飲食店などではクレジットカードのブランドに制限があるケースが多く、いちいち現金で支払わなければいけない状況を手間に感じたことでしょう。遠方まで出かたのにせっかくのポイントが貯まらないので損をしたような気持ちになります。普段から複数のカードを持ち歩いておけば、いざというときにブランドの制限困ることもなくなるのです。

そのため、海外旅行のためにクレジットカードを作ったという人も多いでしょう。仕事で海外に行く機会が多い人もカードを複数持つ傾向が強まります。海外に行けば、国内とは使えるカードもがらりと変わります。さらに、海外では現金を持ち歩くよりもカードで買い物を行った方が楽ですし、安全に感じるものです。国内はもちろん、海外でもカードの使い分けがおすすめです。

 

クレジットカードを複数枚もつことのデメリット

逆にクレジットカードを複数枚持つときには、デメリットも把握して対策を考えておく必要があります。デメリットとして「家計を圧迫する」と考える人もいますが、これは使用法を誤ったときにのみ限定されるデメリットです。まず、審査を通過している時点で返済能力は備わっているわけですし、カード会社も返済不能な限度額を設定することはまずありません。あまりにも浪費が過ぎてしまう、限度額を意識せずに使っているなどの過失がなければ、複数のクレジットカードを利用していても経済的負担が重大になる心配は少ないといえます。

むしろ、懸念すべきは細々とした管理の煩わしさです。代表的なものでいうと、返済の面倒臭さに悩まされるのではないでしょうか。クレジットカードを複数持っていると、どのカードがいつ、どれだけ返済しなければいけないのかを見失うことがよくあります。多くの人は自動引き落としでカードを利用していますが、銀行口座を確認しても、どのカードの分がどれだけ引き落とされているかが見えにくくなってしまうのです。返済日を同日に設定している場合は尚更、管理が難しくなるでしょう。だからといって返済日をバラバラにしてしまうと、カードごとの返済日を記憶しておくことが大変ですし、「口座に十分なお金が入っているだろうか」と気にかける頻度も増えてしまいます。利用者ごとに分かりやすい方法を見出して、返済日と金額を忘れない工夫を行っていくことが重要です。例えば、自分だけにしか分からない場所に返済日のカレンダーを作っておくのも一つの方法です。

クレジットカードが複数になれば、それだけ盗難や紛失の確率も高まります。ややずぼらな人であれば、財布に入れていたカード類がいつの間にかなくなっていたという経験があるのではないでしょうか。ショップのポイントカード程度であれば大きな問題にはなりませんが、クレジットカードの紛失ともなれば大問題です。

最悪な場合、サブカードを紛失してしまったことにすぐには気がつかず、手にした誰かによって悪用され、事件が発覚したときには大損をしているという可能性が考えられます。使った覚えもないカードが限度額に達していて、慌てて調べたらカードを紛失していた、などという事態になっても手遅れです。複数のクレジットカードを扱うときには、責任も枚数分だけ増えることを自覚しましょう。

暗証番号の記憶も面倒なポイントです。全ての暗証番号を統一してしまう方法もありますが、それではセキリュティが低くなってしまいます。また、自分にとって覚えやすい番号は多くの場合、人にとっても覚えやすいものです。誕生日や番地、名前の語呂合わせなどはカードに限らず、あらゆるパスワードで避けるようにしたい暗記法です。一枚一枚に漏洩しにくい暗証番号やパスワードを振ることがおすすめですが、そうなると、今度は自分が覚えきれないというジレンマに陥ります。暗証番号をメモしておくなどの方法も機密保持の面からすればおすすめできないので、努力して暗記するのが一番だといえます。

細かい悩みとして、複数のクレジットカードが財布のスペースを占拠してしまうという点も挙げられるでしょう。常に財布がパンパンに膨らんでしまい、人から見て格好の悪い形状になってしまいます。大きな財布ですぐに取り出せるよう管理しましょう。小さな財布はスペース面だけでなく、何かの弾みでカードを落としてしまいやすいので、複数のカードを持ち歩くにはそれに相応しいだけの器も必要とされます。カードが多いと管理も大変だと自覚しておけば、いざ複数のカードを手に入れたときにも自分なりの対処法をすぐに見出せるでしょう。

 

複数枚のクレジットカードをもつときの注意点

クレジットカードを複数枚持つメリットもデメリットも理解したところで、実際に複数のカードを持つためには注意しなければいけないポイントが何点かあります。まずはカードを申し込むタイミングです。年収が安定していて、経歴も信頼の置ける人であれば問題なくカードの審査には通るはずです。ただし、タイミングを間違えると通るはずの審査も落とされてしまう可能性があるのです。

クレジットカードを複数所有したいときには、数社を同時に申し込まないように注意しましょう。あなたが優良な顧客だったとしても、カード会社は同時に申し込んだことで不信感を抱き、落選させる可能性が大きくなります。なぜなら、クレジットカードの現金化を疑われるからです。カードには現金を引き出す機能がありますが、それを目当てでクレジットカードを持とうとしているとカード会社は考えます。こうしたカードの利用方法をしたがる人の多くはお金に困った人たちです。

つまり、こうした人たちは消費者金融と同じような感覚でクレジットカードを持とうとします。彼らの多くはすでに借金があったり、浪費癖があったりで返済能力が疑わしく、カード会社からすればなるべく避けたい顧客です。同時の申し込みは、経済状況を勘ぐられる原因になります。

次に、入会特典だけを目的にカードを持とうとしていると思われることです。クレジットカードでは入会時にポイントが付加されたり、サービス券が贈られたりする特典があります。それ目的で入会する顧客はもちろんいますが、中にはメインカードはすでに用意しておいて、複数のカード会社から入会特典だけをもらおうと思いつく人もいます。こうした人たちはカードを手に入れたところで一切利用しないので、カード会社からすれば特典を渡すだけ損をしてしまいます。同時申し込みをすれば、特典目当てに見えてしまうと意識しましょう。

複数のクレジットカードを所有した後も、気をつけなければ生活を苦しめることになります。たとえば、リボ払いを避けることです。リボ払いとは毎月一定の金額に返済額を分割してカードを利用する方法です。たとえば、10万円(税抜き)の買い物をしても1万円(税抜き)の買い物をしても毎月の返済額は5,000円で変わらないというシステムです。一見すると便利なようですが、大きな買い物をすればそれだけ返済期間が長くなることを意味します。そのうえ、毎月の返済額が少ないためについ多額の買い物をしてしまって利用額を大きくしてしまう傾向があります。リボ払いは考えて行わなければ危険な経済状況を生み出してしまうのです。

返済能力がいつまでも維持できるとも限りません。会社が倒産したり、事故などで体が不自由になったりする可能性もゼロではないでしょう。そうすると、返済能力がゼロになり、債務だけが残る状況がやってきます。カードへの依存は思わぬしっぺ返しをくらうこともあるのです。いわゆる「クレジットカード地獄」に足を踏み入れないためにはキャッシング機能を利用しないほうが賢明です。

「一度くらい」という気持ちがズルズルとキャッシングを重ねる原因となり、リボ払いの魅力も手伝っていつの間にか多重債務に追われる毎日に陥ってしまうこともありえます。クレジットカードは便利でステータスを感じられるシステムですが、あくまでも現状の返済能力を超えるような利用方法は控えるように心がけましょう。

そして、適当にカードと向き合うのではなく、カードの役割や限度額を把握しておくことが大切です。複数のクレジットカードを持ったときにありがちな「どのカードをいくら使ったか分からない」という事態を避けるために、利用状況を常に自覚しておくことが大切です。