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クレジットカードのICチップとは?歴史を振り返ろう

今では当たり前の存在になったICチップ付きのクレジットカード。カードの表面に付いている金色の四角いマーク部分がICチップです。このICチップには、主に情報の記録やアクセス制限をする機能があり、カードの利用状況記録や、暗証番号での決済を可能にする役割を担っています。

ICカードが普及する前、一般的に使用されていたのは「磁気ストライプカード」でした。しかし、偽造などの犯罪が多くなっていたことから、解析が非常に困難なICチップをキャッシュカードやクレジットカードに導入することが提案され、ICチップ付きクレジットカードが誕生したのです。

クレジットカードだけでなく携帯電話やデジタル放送などにも使用されているICカードは、1968年にドイツで発明され、日本では1970年に発明されました。ICカードを決済手段としてクレジットカードに導入したのは1993年のこと。クレジットカード大手のユーロペイ、マスターカード、VISAが共同で決済業務用ICカードを開発しました。このICカードは3社の頭文字をとって「EMV仕様」と名付けられ、今では世界的な標準となっています。

ちなみに日本では、セキュリティ対策のために、加盟店に対してICチップ付きクレジットカードに対応した読み取り端末の導入を、2018年までに義務化する予定です。

クレジットカードのICチップと磁気ストライプの違い

磁気ストライプカードの裏面には黒い磁気テープが貼られていますが、この帯状のテープが磁気ストライプと呼ばれるものです。この磁気ストライプには、3つの大きな弱点がありました。

磁気に弱い
磁気ストライプカードの近くに強い磁石や携帯電話などを置いてしまうと、その磁気の影響で磁気ストライプがダメになってしまいます。カードが使えなくなってしまったら、その都度窓口に行って交換してもらわなくてはいけません。

安全性が低い
磁気ストライプはカード情報がむき出しになったような状態で、カードの情報を容易に盗まれてしまいます。過去には年間100億円以上の被害が出るなど、セキュリティ面で不安があります。

磁気ストライプが記憶できる情報量が少ない
1枚のカードで1つの機能しか搭載できず、複数のサービスを利用するには少々不便でした。

ICチップ付きカードは、こういった磁気ストライプの弱点を克服したものです。スキミングなどで情報を抜き取りにくく、1枚のカードで複数のサービスを使えます。ただし、磁気は損傷を受ける可能性があるため、磁気ストライプカード同様、できるだけ近づけないようにしましょう。

ICチップ付きクレジットカードのメリット①スキミングの被害に遇いにくい

ICチップ付きクレジットカードの大きなメリットは、セキュリティ面の強化です。磁気ストライプのクレジットカードはカード情報がさらけ出されているような状態で、簡単にスキミングによって情報を盗まれてしまいます。しかしICチップは安全性が高く、スキミングの被害数も少なくなっているのです。

そもそもスキミングとは、スキマーと呼ばれる機械でクレジットカード番号や有効期限などの情報を読み取ること。これらの情報からカードを複製され、お金を奪われてしまうのです。スキミングは短い時間でできてしまうため、すぐには被害に気づかない場合があります。ATMにスキマーが取り付けられていて気づかず差し込んでしまった…ということも、十分にあり得るのです。

その点ICカードは、磁気ストライプと比べて情報読み取りに長い時間を必要とするため、すぐには情報を抜き取ることができません。またカードを利用するときは暗証番号を入力する仕組みになっているので、セキュリティ面が強化されています。長い時間をかければ読み取れる場合もあり、絶対にスキミングできないというわけではありませんが、磁気ストライプカードよりずっと情報が抜き取りにくく、安全性が高くなっているのです。

ICチップ付きクレジットカードのメリット②偽造が困難

ICチップ付きクレジットカードになることで、偽造や変造もしにくくなりました。ICチップのメモリにはさまざまなカード情報が記録されていて、そのカード情報へのアクセスをCPU(中央演算処理装置)が制御しています。しかしこの仕組みだけでは情報を完璧に守ることはできないため、さらにメモリに記録する情報を複雑な暗号にし、解析しにくくしています。高度な暗号化はスキミングを防ぎ、同時にクレジットカードの偽造も防いでいるのです。

このように安全性が高められたICチップ付きクレジットカードは、加盟店に設置された、ICカード対応の決済端末で情報を読み取りますが、さらに本人確認のため暗証番号を入力する必要があります。カードを偽造するには、複雑な暗号を解析し、カード所持者が設定しているパスワードを知る必要があるので、第三者が不正に情報を読み取り偽造することは非常に困難です。

ただし、セキュリティが強化されたとはいえ、スキミングや偽造が100%なくなったわけではありません。ICチップ付きクレジットカードであっても、偽造される可能性は十分にあるのです。ATMや店頭での暗証番号は手で隠しながら入力する、いつも使っているATMであっても怪しい機械が設置されていないかチェックするなど、これまで通り注意することが大切です。

ICチップ付きクレジットカードのメリット③サインレス

ICチップ付きクレジットカードを店頭で利用する際は、暗証番号の入力が必要です。しかし代わりに、サインをせずに利用することができ、安全かつスピーディーに買い物ができるメリットがあります。ただ、中には暗証番号ではなくサインを求めてくる店舗もありますよね。こういった店舗は、ICチップ対応の決済端末を導入していないため、サインをしなくてはいけないのです。

また、暗証番号を求められたものの、番号を忘れてしまったり、サイン派だったりという理由で拒否したい場合があるかもしれません。そのようなとき、店舗によっては「当店は3万円以下のお買い物はサインレスですので」と、暗証番号もサインもなしにカードを使えることがあります。何もしなくてもいいので手間が省けますが、引き落としの金額に入力ミスなどがないか、レシートは必ずチェックしましょう。

「暗証番号なしで購入できるなら、最初から聞かなければいいのに…」と疑問に思うかもしれませんが、暗証番号入力となにもしない購入方法とでは、保証面で違いがあります。もしクレジットカードを落として、拾った人が暗証番号拒否&サインレスで物を購入し悪用した場合、その責任はサインレスで決済した店側に課せられます。しかし、暗証番号を入力した決済方法で悪用された場合の責任は、すべてカード契約者側にあるのです。

クレジットカードのICチップが読み込み不良を引き起こす可能性のある行為

ICチップ付きクレジットカードがなぜか読み込まれない…ということがたまにあります。その原因は、

①衝撃や高熱などでICチップが傷ついた
②ICチップと一緒に導入されている磁気テープが磁気不良になった

ということが考えられます。

ICチップは強い衝撃、高熱、汚れに弱く、丁重に扱う必要があります。気を抜いて乱雑に保管しているとカードに傷がついてしまい、最悪の場合破損してしまうのです。その他に、財布との摩擦でICチップに傷がついた、ICチップをベタベタ触って汚れが溜まった、高温状態の車内に放置したなど、考えられる破損原因は数多くあります。

またICチップ付きクレジットカードは、普通の生活の中において磁気の影響を受ける可能性は低いですが、まれに磁気不良を引き起こす場合があります。それは、最近のクレジットカードにはICチップとともに磁気テープも一緒に導入されているものが多いからです。

現在ICチップはある程度普及していますが、すべての機械がICチップに対応しているわけではありません。そのため、ICチップと磁気テープの両方を付ける必要があるのです。ですから、磁石を近づけると磁気テープ部分が破損し、読み込まなくなるというケースもあり得ます。人体になにかしら影響を与えるくらい強い磁気を近づけるとICチップも破損する可能性があるので、注意が必要です。

ICチップが読み込み不良になったら・・・

ICチップが読み込みエラーになってしまった場合、その原因によっては対処方法があります。まずICチップの汚れが原因で読み取れない場合には、柔らかい布でICチップを優しく拭き取ってみてください。それでも汚れが取れなければ、エタノールをガーゼや綿棒につけ、そっと拭き取ります。

摩擦などで小さな傷ができてしまった場合には、セロハンテープをICチップ部分に貼ることで読み取りが改善することもあるようですが、これは店舗などでカードの一部を決済端末に差し込む場合のみでの対処法になります。ATMなど、カードをすべて取り込む機械で利用した場合、不正カードとみなされる可能性があるため、あくまでも店頭での応急処置として考えてください。

その他、大きな破損、高熱、磁気、カードが折れたなどが原因で読み取り不良になった場合は、自分でカードを復活させることが難しいでしょう。窓口に行って、クレジットカードを再発行してもらう必要があります。紛失の場合クレジットカード番号は変わりますが、破損したカードが手元にある場合は番号を変えずに再発行してもらえることもあります。ただし、裏のセキュリティ番号は変わるので注意です。ICチップ付きクレジットカードはできるだけ再発行することのないよう丁寧に扱いたいですね。

 

 

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